日 時:平成21年10月7日 (火)15:00~17:00
講座名:アントレプレナーシップ
講師:ネイチャリング・プロジェクト
代表理事 松村 一芳

講座概要
ソーシャル・アントレプレナーシップについて冒頭でお話します。これまで皆さん文化の香りがすることをいろいろ見てきたり関わってきたりされたと思いますが、要はすべてそれを担っていく人たちに共通する精神が「アントレプレナーシップ」と思ってください。
昨今、私利私欲に走ったような事件が幾つも見受けられ、社会としてさまざまなひずみを抱えています。文化の伝承に関しても、担い手がいなくなっています。イベントの運営費等の資金も目減りして、活動を継続することすら難しくなっている、といった問題を抱えています。
これに対して、各省においても、これまでのハコモノ予算だけではなく、「担い手育成」を行っていこうという話になってきています。また、行政が公的施設を「指定管理」という形で民間に委託するという流れの中で、単なる営利とも違いこれまでのボランティアとも違うマネジメントのあり方が注目を浴びています。
本来、マネジメントと言うのは公益的価値の創造「ソーシャルバリュー」という語意を含んでいましたが、これを単に管理運用するというのではなく、新しく「ソーシャルアントレプレナー」(社会起業家)という言葉を用いることで、今一度、社会的な視点で考えていこう、変えていこうという事なのです。
それでは、ここで皆様には、スクリーンのMTCチャート事例を見ながら、実際に皆さんの起業家力をお手元MTCチャートに記入して頂きそれぞれ確認して行きましょう。これはMoving Triangle Chart(以下、MTC) と私たちが呼んでいるものです。この表に文章ではなく、キーワードとして皆さんの頭の中にイメージしたものを書き込んでいって欲しいのです。キーワードは各頂点5個まで、5個はできるだけ重複しないように意識して書いてください。三角形自体は歪があってもなんら構いません。なぜこのプログラムを行うかというと、書き手側がやりたいことを明確に整理できるようにと、またそれらを公開共有することによって、本当にそれが有効な活動であるか、実現可能な活動であるかということを精査する事ができるようにと、目的を持った作業です。
目に見える形で互いに共有することが如何に大事な事か。それを複数の人にプレゼンすることで外部からそれへのリアクションが生まれるし、実現性が生じてきます。プロジェクトづくりにおいて、この三角形を作成、公開、場合によってはスクリーンで重ねていくなどして、共有するということはとても有効だし、互いの関係を補完する際の羅針盤にもなります。
文章で書く場合は、できるだけコンパクトに。キャッチコピー程度に考えて欲しいです。
十文字程度でまとめれば良いかなと考えています。最初のポイントは感じたままに書き込んでみる事です。そのときに気をつけて欲しいのは、行政用語のような概念的な言葉をつかわず、自分語で具体的に何をしたいのか、誰にどういうメリットがあるのかなどをシンプルにはっきり書き込むことです。
ボランティアの語源はスイスの志願兵。スイスは三方が山に囲まれていて、兵隊が足りない。そこでボランティアとして自らの家族のために戦う。何かの目的達成(ミッション)のために、命がけでボランティア参加する。そういったことが、ボランティアの本来の姿だと思うのです。
ビジネスの手法をもって地域的課題を解決し、新しい社会的価値を創造するというのがアントレプレナーシップ。そこにソーシャルという言葉が付く事で、さらに大きな社会的課題に取り組んでいくという視点が生まれる。ボランティア精神というのはどちらかというと個人の精神的なこと。起業家というのは、これに対して非常に社会的な影響が及ぶもの。起業家精神を学ぶことによって、皆さんのボランティア・コーディネーターとしての能力を上げてゆくというのがこの講座の目的でもあります。さらに、このようなプログラムを通じて皆さんのお考えを知ることで、ともに協働し、大きな社会価値を持ったイベントを展開したいと思っています。
また、実現性が書きづらいというお話がありましたが、実現するために何が必要か、逆に現在ないものを書くという事もありですよ。自分のスキルとやりたいことがずれていると感じておられる方もいらっしゃるようですが、それらを繋ぐために何が必要かを考えてみれば見えてくると思います。「ないものを探し発掘する」ことが大事。とにかくシンプルに、考えていってください。突飛なことだって、それをやり続ければ実現できるというのが起業家精神でもあります。
また、何故文章にしないほうが良いかといえば、文章では重複することが多く見られ、伝わらなくなってしまうケースが間々ありますので。
それから、今拝見しましたら、重複や書く場所を間違えている方が結構見受けられますので、スクリーンの書き込み事例を参考にして頂き、皆さんのMTCを再度チェックしてください。それから、次にポイントとして何個あるのかを数えてみてください。個数が決定したらMTCシートに丸点をつけて、それらを線でつないで三角形を作りましょう。今回皆さんに書いて頂きましたMTCをお預かりし、採点したのち、次回の講座で総評レポートとともにお返しいたします。
また、今回のMTCをもとに、皆さんをグループ分けして、次回の講座は、グループワークを行う予定です。
それから、皆さんのMTCの書き込みの様子を拝見しました。お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、皆さんご自身が本当はすばらしい経営資源なのです。それを互いに知り、共有することで、互いが支えあって、最後のイベントへと繋げていけたらと考えています。
また、皆さんと様々な角度からフランクに議論できれば、それらを通じてさらに良いイベントができて行くと思います。

これで、私の講義は終わります。
それでは、また来週、お会いしましょう!
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